講師:栗原景先生(フォトライター・ジャーナリスト)
韓国は鉄道が発達した国の一つです。路線距離は4,000km強と決して長くはないですが、面積当たりに換算すると比較的高密度に路線が引かれており、世界でも数か国しかない高速鉄道のKTXが韓国全土を網羅、セマウル号、ムグンファ号、ヌリロ号といった一般の都市間列車も数多く運行されています。また近年、全国で既存の路線を廃止して、新たに高規格路線を建設しており、時速200km以上の高速列車を投入しています。一方、ソウル、仁川(インチョン)、釜山(プサン)などの大都市圏も地下鉄・電鉄と呼ばれる通勤電車が都市一帯を隈なく張り巡らしていて、市民の足として機能しています。
韓国に鉄道が開通したのは1899年9月にソウル・漢江(ハンガン)の南にある鷺梁津(ノリャンジン)から仁川の済物浦(チェムルポ)の間でした。戦前は日本から大陸に向かう連絡鉄道や半島北部の工業地帯への輸送を担い、戦後は国土が南北に分断した影響で、韓国国内における産業輸送を担ってきました。かつて、韓国国民の足は車中心でしたが、現在は地球温暖化や環境保全のため、鉄道を利用する人が大幅に増えています。このように激動の韓国と共に歩んできた「韓国の鉄道」について、3回にわたって栗原景先生に講義していただきます。
【ラインナップ】
★第3回★
高速鉄道と都市鉄道によって生まれ変わる韓国の鉄道
1945年8月15日、日本の降伏によって朝鮮半島は解放されましたが、すぐにアメリカとソ連によって国土が二分されてしまいました。二つの国家として独立した後の1950年には朝鮮戦争が勃発、3年に渡る戦いで韓国の鉄道も徹底的に破壊されました。休戦後は南北の往来はできなくなり、陸路での大陸への移動は不可能になりました。
朴正煕(パク・チョンヒ)政権が誕生すると経済成長が始まり、国内の産業が発展すると同時に鉄道も貨物輸送を中心に需要が高まってきました。旅客列車も徐々に発展を見せ、韓国国内の急行列車として「トンイル号」「ムグンファ号」が誕生、1970年代には特急列車「セマウル号」が誕生します。
一方、都市鉄道として1974年に日本の援助によって韓国初の地下鉄がソウルに開通、以後路線を着実に伸ばしていきます。また、経済成長に伴う首都圏への一極集中の対策として、京釜(キョンブ)線、京仁(キョンイン)線、京元(キョンウォン)線と言った郊外路線と地下鉄の相互乗り入れを行い、急激に人口が増大した首都圏に住む市民への利便性を高めました。
1980年代後半の民主化宣言とソウルオリンピック開催を成し遂げた韓国はその後も経済発展を遂げ、OECDに加盟するまでになりました。それと同時に韓国の鉄道も2004年に高速鉄道KTXを開業させ、鉄道においても世界トップレベルの水準までに至りました。
第3回は朝鮮戦争によって国土が荒廃してしまった時代から、経済成長を進めて先進国に仲間入りするまでになった激動の時代を、鉄道を通して栗原先生に講義をしていただきます。
【栗原景(くりはら・かげり)先生プロフィール】
1971年東京都生まれ。旅と鉄道、韓国をテーマとするフォトライター、ジャーナリスト。小学生の頃から、一人で各地の鉄道を乗り歩く。学生時代には、レイルウエイ・ライター種村直樹氏(1936〜2014)のアルバイトを務め、鉄道関連書籍の編集に携わる。大学卒業後は実業之日本社で国内外の旅行ガイドブックの編集を担当し、2001年からフリー。2001〜2004年にかけて韓国に留学し、高麗大学・建国大学で韓国語を習得。帰国後は、初心者向け韓国語教材や、韓国旅行に関する記事を中心に執筆・撮影活動を行っていたが、2007年頃から鉄道や国内旅行に関する仕事が増えている。現在、書籍や雑誌、ウェブ媒体への記事提供のほか、トークイベントやテレビ・ラジオ出演も行っている。
★著書★
2021
「東北新幹線沿線の不思議と謎」実業之日本社
「まっぷるキッズ 日本全国特急列車に乗ろう!」昭文社
「まっぷるキッズ 日本全国新幹線に乗ろう!」昭文社
「廃線跡巡りのすすめ」交通新聞社
「国鉄色ガイドブック」誠文堂新光社
2020
「アニメと鉄道ビジネス」(梅原淳氏らと共著)交通新聞社
「地図で読み解くJR中央線沿線」(岡田直氏と共著)三才ブックス
「東海道新幹線沿線部の不思議と謎」実業之日本社
2019
「国鉄・私鉄・JR 廃止駅の不思議と謎」(伊原薫氏と共著)実業之日本社
2018年
「テツ語辞典」誠文堂新光社(池田邦彦氏と共著)
2017年
「最後の国鉄電車ガイドブック」誠文堂新光社(広田尚敬氏・梅原淳氏・坂正博氏と共著)
2016
「東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!」東洋経済新報社
「学研の図鑑LIVE! 鉄道」学研プラス
2015年
「最後の国鉄直流特急型電車」JTBパブリッシング(梅原淳氏らと共著)
「寝台列車の図鑑」 メディアファクトリー
2013年
「列Q 列車と時刻表の旅100問」 実業之日本社
2012年
「古代から朝鮮王朝まで 韓国歴史ドラマにもっと熱くなれる本」 高橋書店
「 パズルでらくらく!ハングル超簡単マスターブック」 アスク
2010年
「3週間でできる初中級ハングル書き取りノート」 アルク
2009年
「秘境駅III」 メディアファクトリー(牛山隆信氏と共著)
「新幹線の車窓から」 メディアファクトリー
2008年
「秘境駅Ⅱ」 「秘境駅」メディアファクトリー(牛山隆信氏と共著)
「1週間でできる初級ハングル書き取りノート」「3日でできる超入門ハングル書き取りノート」 アルク
2006年
「『日本語』から始める書き込み式韓国語BOOK」 成美堂出版
2005年
「『あいうえお』から始める書き込み式ハングルBOOK」 成美堂出版
2004年
『別冊宝島 (1089)3泊4日のハングル会話』 宝島社
★訳書★
『世界・大鉄道の旅』 心交社 1997 (英文和訳:種村直樹氏監訳)
★テレビ・ラジオ(主なもの)★
・「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)
・「Rendezvous」(J-WAVE)
・「おしゃべりクイズ疑問の館」(NHKラジオ第一)
・「首都圏スペシャル 達人おすすめ ネオ鉄道旅へ出発進行!」(NHK総合)
・「イッポウ」(CBCテレビ)
★ツアー案内・講師等(主なもの)★
・首都大学東京オープンユニバーシティ「韓国を楽しむ」(2006年度)
・クラブツーリズム「知って得する!青春18きっぷセミナー」(2009〜2010年)
・三進トラベル「豪華列車ヘラン号で行くプレミアムツアー」(2010年)
・江東区亀戸文化センター文化講座「ワンダフル・コリア~美・食・探・求~」(2012年度)
・「ハリアナコリア〜共感されなくても、僕らは楽しい〜」(2014〜2017年)
・はとバス「東京の歴史を訪ねる鉄道遺構の旅」(2016年)
・JR東海ツアーズ「東海道新幹線の車窓をぜんぶ楽しむ!「こだま」ゆったりグリーン車の旅」(2016年)
・JR東海「急行トレインフェスタ1号」車内案内(2018年)
第1回 韓国に初めて鉄道が登場 明治時代の京釜線建設を中心に
19世紀末、韓国に鉄道が開通するまでの社会的経緯と鉄道がもたらす韓国および国際社会への影響について
2022年1月13日(木) 20:00~21:30
講座終了:録画配信にてご視聴できます。
第2回 日本統治下から戦後にかけて韓国鉄道の歩み
日韓併合によって日本の統治下に置かれた時代から太平洋戦争を経て朝鮮戦争に至るまでの韓国の鉄道について
2022年2月24日(木) 20:00~21:30
講座終了:録画配信にてご視聴できます。
第3回 高速鉄道と都市鉄道によって生まれ変わる韓国の鉄道
朝鮮戦争後、力強く発展の道を歩みだす時代から観光列車セマウル号を経て、高速鉄道KTXが開通して発展を遂げる現代の韓国の鉄道について
2022年4月7日(木) 20:00~21:30
講座終了:録画配信にてご視聴できます。
※テーマは若干変更される可能性があります。
旅行企画・実施 | 株式会社三進トラベルサービス 東京都知事登録旅行業2-6204号 全国旅行業協会(ANTA)正会員 (旅行条件書) |
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オンラインセミナー参加費用
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